自家製ブルーチーズに挑戦中

牛乳を固める:pHの役割

ブルーチーズ
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こんにちは、発酵おじさんです。

このサイトでは、自宅でブルーチーズ作りに挑戦しています。

凝乳とは?

チーズ作りの最初のステップが「凝乳」です。

凝乳とは、牛乳を固めて、固形物と液体に分離することです。

凝乳した固形物を「カード」、液体を「ホエイ」とよび

チーズにはカードが使われます。

凝乳に必要な要素

  • pH
  • レンネット(凝乳酵素)
  • カルシウム濃度

ここでは、pHについて詳しく触れていきます。

なお、レンネットの役割については別の記事にまとめたので読んでみてください。

凝乳に使用する牛乳

pHの説明をする前に凝乳において一つ大切なことがあります。

それは、凝乳を行う牛乳は、低温殺菌乳を用いる必要があるということです。

高温殺菌乳は、タンパク質が熱変性(タンパク質の立体構造が変化すること)していて、うまく固まらないためです。

そのため、なるべくタンパク質が変性していない低温殺菌乳を使用します。

反対に、無殺菌だとリステリア菌汚染の心配がありますので、生乳が手に入る場合も必ず低温殺菌は行った方が良いと思います。

リステリア菌は、感染するとインフルエンザに似た症状が出る病原菌です。

凝乳におけるpHの役割

さて本題ですが、牛乳はpHを4.8程度の酸性にすると、凝集して固まります。

牛乳にレモンやお酢を入れてチーズが作れるのをご存知の方も多いと思います。

これはレモンのクエン酸やお酢の酢酸によってpHが酸性になり凝乳した結果です。

では、なぜ酸性にすると牛乳は固まるのでしょうか?

タンパク質の等電点

少し難しい話になりますが、酸性で牛乳が凝固する理由には、牛乳の中のカゼインというタンパク質の「等電点」が深く関わっています。

タンパク質はアミノ酸が鎖のように繋がってできた分子です。

タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、その側鎖によってタンパク質は電気的な偏りを持っています。

この電荷の偏りは、いつも一定ではなくpHによって変化することが知られており、タンパク質の電荷が0になるpHを「等電点」といいます。

pHによる凝乳

pH中性付近では、牛乳中のカゼインは負の電荷を帯びており、互いに反発して分散状態で存在します。

そのため、カゼインは沈殿せずに常に分散しています。

ちなみに、牛乳が白く見える理由は、分散状態のカゼインに光が当たって乱反射するためです。

では、pHを酸性にするとどうなるでしょうか?

カゼインの等電点はpH 4.8です。

牛乳に酸を加えてpH 4.8(等電点)に近づけていくと、カゼインのアミノ酸側鎖COO-にH(+)が結合してCOOHとなり、電荷が0に近づいていきます。

そして、pH4.8になると正の電荷と負の電荷が等しくなり、カゼインの電荷平均が0の状態となります。

すると、これまでカゼイン同士の分散に寄与していた「電気的な反発力」がなくなります。

電気的反発力がなくなると、カゼイン同士が結合しようとする力だけ残ります。

元々カゼインは疎水性のため、水の中ではお互いに凝集して表面積を最小にした方がエネルギー的に安定ですが、それを電気的な反発力が食い止めていました。

その状態から電気的な反発力を取り除くと、カゼイン同士がどんどんと結合して大きくなり安定になろうとするわけです。

これがpHを酸性にして牛乳が固まる原理です。

疎水性のカゼインが凝集するイメージは、水の中の油滴が勝手にくっついて

大きくなっていくのを想像してもらうと原理的には近いです。

pHを変化させる方法

pHを酸性にすると牛乳のカゼインが電気的な反発力を失って凝集し、沈殿することを解説してきました。

チーズ作りにおいてpHを酸性に変化させるには、二つの方法があります。

  • レモンなど酸を加える
  • 乳酸菌による乳酸の生成

このうち、乳酸菌による乳酸の生成は最も広く用いられている方法です。

乳酸菌により、牛乳の糖を分解し、乳酸を生成することで、牛乳のpHが低下して凝乳が起こります。

ヨーグルトが固まるのも全く同じ原理です。

まとめ

牛乳をタンパク質の等電点(pH4.8)にすると、タンパク質の電気的な反発がなくなり疎水性のカゼインが互いに凝集して沈殿します。

チーズ作りでは乳酸菌による乳酸生成により、酸性にして凝乳させます。

凝乳には、pHを低下させる乳酸菌の他にレンネットを用います。

レンネットは、キモシンいうタンパク質分解酵素ですが、これはカゼインの疎水度をより高くして凝集する力を強くする役割があります。

こちらは別記事で詳しく解説しているので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。それでは

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